# 信用創造ダイナミクス・シミュレーション分析レポート ## 概要 フロー中心モデル(Y = C_flow − ΔK − LOSS)を用い、複数のシナリオ実験を実施した。以下に主要な発見を報告する。 --- ## 発見1:臨界金利の非線形性 低金利(r=0.04)で膨張した経済に金利ショックを与えた結果: | 引上げ後金利 | ショック後Y変化率 | 判定 | |---|---|---| | r = 0.06〜0.10 | −34%〜+33% | 調整・継続膨張 | | **r = 0.11** | **−62%** | **臨界点** | | r = 0.12〜 | −98%以上 | 崩壊(不可逆) | **解釈:** r=0.10と0.11の間に明確な崩壊閾値が存在する。これは金利が連続的に効くのではなく、**閾値を超えた瞬間に非線形崩壊が起きる**ことを示している。中央銀行の「微調整」が実は崖の縁に近い可能性がある。 --- ## 発見2:貯蓄性向と崩壊損耗の比例関係 | 貯蓄性向 s | 膨張期最大Y | 崩壊後最小Y | ピーク損耗/最大Y比 | |---|---|---|---| | 0.10 | 148 | 0.8 | 0.019 | | 0.30 | 1,797 | 10.8 | 0.024 | | 0.50 | 10,405 | 72.5 | 0.030 | **解釈:** 高貯蓄は在庫(K)を大きく積み上げ、膨張規模を拡大する。しかし崩壊時には「失われる在庫量」も比例して大きくなる。ただし損耗比率(ピーク損耗/最大Y)は小幅な増加に留まる。 **→ 貯蓄は膨張の加速器であり、崩壊の規模も拡大するが、崩壊の「質」(損耗率)はさほど変わらない。** --- ## 発見3:金利 vs 準備率——政策手段の比較 同程度の信用抑制を達成した場合の副作用比較(介入前Y≒49,000): | 手段 | 最終Y | 最終Φ(分配集中度) | ピーク損耗 | |---|---|---|---| | 介入なし | 49,019 | 12.0% | 941 | | 金利 r→0.08 | 6,340 | **31.1%** | 183 | | 金利 r→0.10 | 2,377 | **44.3%** | 87 | | **金利 r→0.12** | **5(崩壊)** | **1150%(崩壊)** | 12 | | 準備率 ρ=0.20 | 17,896 | 13.4% | 387 | | 準備率 ρ=0.30 | 6,406 | **15.2%** | 158 | | 準備率 ρ=0.40 | 2,237 | 17.6% | 64 | **解釈:** 準備率引上げは分配集中度(Φ)をほぼ維持したまま信用を抑制できる。金利引上げは抑制と同時にΦを急上昇させ、臨界点で崩壊する。 **→ 議論の命題「金利よりも準備率のほうが信用創造の律し方として副作用が少ない」がモデル上で確認された。** --- ## 発見4:崩壊の二段階構造 金利ショック(t=80)後の時系列観察: ``` t= 0〜79 【膨張期】 Φ≈12%、ρ_eff=10%、stress≈0 t=80 【第一段階】 Φ 8%→40%(1期で急変)、ρ_eff 10%→19% t=81 【第一段階継続】 Φ→92%、ρ_eff→50%(タンス預金化が爆発的に進む) t=82 【第二段階開始】 stress>0、δ_eff>4%(物理的損耗増大が始まる) ``` **第一段階(分配集中問題):** 金利上昇 → rC/Y が急騰 → Φ>θ → タンス預金化 → ρ_eff上昇 → C_flow急落 **第二段階(物理的破壊):** C_flow